スタッフコラム

スタッフコラム

Staff column
2020.07.20
頸椎症のリハビリテーション

このコラムでは当院で多い疾患に対して、リハビリテーションプログラムをご紹介いたします。

1.どのような障害か

<病態>

首は頚椎と呼ばれる7つの骨と、骨の間にクッションの役割を果たす椎間板、他には神経・筋・靭帯などの組織があります。骨や椎間板・靭帯が変性することで、頚部の痛みや肩甲骨・腕にかけてしびれが生じるものを総称して頚椎症と呼びます。

<原因>

・姿勢:猫背などの不良姿勢では、首の後屈が過度に増強(あごが上がっている状態)し、関節や椎間板・靭帯への負担が増え、神経の通り道が狭くなります。

・加齢:関節や椎間板・靭帯が加齢により変性していきます。中年以降に発症することが多いと言われています。

姿勢や加齢により、頚椎が変性して関節の痛みを引き起こしたり、椎間板が変性して神経を圧迫することで痛みやしびれを発生させる原因となります。

 

<症状>

・頚椎症性脊髄症

首の痛み・動きの制限、脊髄が圧迫され両方の手や足にしびれなどの感覚異常を生じることが多いです。ボタンをかけたり、書字、箸を使うことが難しくなることもあります。

・頚椎症性神経根症

首の痛み・動きの制限、神経根が圧迫され肩・片側の手指にかけて痛みやしびれ・力の入りにくさを生じることが多いです。

※頚椎椎間板ヘルニア

椎間板の変性や、強い負荷がかかることで髄核(椎間板の中にある核)が飛び出すことを、椎間板ヘルニアといいます。頚椎症性神経根症状と似た症状が出現します。

 

2.診断・治療

<診断>

診察、問診、画像診断(X線画像、MRI)など

 

<治療>

・装具療法(頚椎を固定する)

・薬物療法

・リハビリテーション など

 

3.リハビリテーションプログラム

<痛みの軽減>

痛みを起こしているのはどの組織なのか推定し、その負担を減らしていきます。

特に、頚部の後屈では神経の圧迫を強めることもあるので、姿勢や日常生活で気をつけることなどをお伝えします。今回は、寝る際の仰向けと横向きのポジショニングを例に写真を載せます。

   

図1 仰向けのポジショニング

   

図2 横向きのポジショニング

 

<関節拘縮の防止>

痛みによって防御的に筋肉が二次的に硬くなることがあります。それに伴い関節が動かしづらくなってしまうため、筋肉を緩めたり、ストレッチを行い血流の改善を促すことで関節拘縮を防止していきます。

 

<筋力の改善>

猫背などの不良姿勢では首の後ろ側の筋肉が常に働き、首の前側の筋肉がさぼっている状態になります。前側の筋肉を使う運動などを行い、頚椎に負担が少なくなる姿勢になるよう筋力を改善していきます。

  

図3 チンイン(首の前側の筋力改善):あごを引きながら、頭で枕を押す

 

<他部位の可動性・安定性の改善>

姿勢からも首の痛みを引き起こしやすいため、胸椎や骨盤などの動きや、姿勢を保ってくれる筋力・安定性はどうか、動作などを確認します。硬いところや筋力の弱いところに対して、ストレッチやエクササイズを行い、姿勢や動作を改善していきます。

   

図4 背骨・骨盤の可動域チェック

4.最後に

患者様によって、機能障害を生じている部位は異なります。

今回紹介している内容だけでは症状が改善しないこともありますので、お困りの方は是非受診していただき、リハビリテーションを受けていただくことをお勧めいたします。

当院のリハビリテーションは、患者様一人ひとりをセラピストが丁寧に評価し、患者様にあった治療プログラムを作成いたします。

 

文責:リハビリテーション科 理学療法士 横山佳奈

 

参考文献

1)石川朗:理学療法テキスト運動器障害理学療法士Ⅱ.2011

2)中村利孝ほか:標準整形外科学.2011

3)岡庭豊:病気がみえるvol11運動器・整形外科.2017