スタッフコラム

スタッフコラム

Staff column
2020.07.03
膝半月板損傷のリハビリテーション

このコラムでは当院で多い疾患に対してのリハビリテーションプログラムをご紹介します。

  1. どのような障害か(病態・原因、症状)

膝半月板損傷とは

膝関節疾患の中でも発生頻度が高く、日常的に多く見られる疾患の1つです。

半月板は膝関節の大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の間にある軟骨様の板で内側・外側にそれぞれあります。衝撃吸収と安定性の役割を果たしており、これが損傷すると、膝の曲げ伸ばしの際に痛みやひっかかりを感じたりします。特に中高年では変形性膝関節症の初期症状である可能性が考えられます。

症状:

・膝の痛み、関節の動きが悪くなる。

・深く膝を曲げるしゃがみ動作・正座などの動きが困難になる。

・膝に水が溜まる。

・膝が動かなくなる。(ロッキング)

・歩けなくなるほど痛くなる。(歩行時痛)

図1:膝の半月板の構造 (文献1より引用)

 

半月板損傷は発生原因により

①スポーツにおける外傷性断裂:サッカー、バスケットボール、バレーボールなどの切り返しやジャンプ動作を反復する種目でケガをします。

②加齢による中高年の変性断裂:スポーツや仕事による負荷、生活様式、肥満などが要因となります。

③円板状半月を誘因とした断裂:元々、半月板の形が丸く、特に原因がなくても発生することがあります。

に分類されます。

 

  1. 診断、治療

画像診断:X線画像、MRIなど

治療:

損傷部位や範囲などを考慮した保存療法が施行されるか、観血療法として半月板切除術・半月板縫合術が選択され理学療法が施行されます。損傷の程度や範囲、損傷形態、受傷機転などは様々です。損傷部分へのストレスを軽減させるため、リハビリテーションによる運動療法が重要となってきます。

 

  1. リハビリテーションプログラム

半月板損傷では、損傷または縫合した半月板へのストレスをいかに軽減させるかが重要です。保存療法および手術療法に沿った適切なリハビリプログラムが大切となります。

 

 

保存療法の場合

受傷直後であれば、まず腫れ・炎症の改善を図り、疼痛の軽減を目指します。安静とアイシングを徹底し、腫脹が軽減した時点で運動療法を開始します。

膝関節自体に対しては、可動域と筋機能の改善を痛みが生じない範囲で行います。

  

図2:膝下にタオルを入れる安静肢位(左写真)、氷嚢などで患部に対してアイシングを行う(右写真)

     

図3:可動域改善運動            図4:SLR(脚上げ運動)

 

手術の場合:

*当院では手術は行なっていないため、提携している病院に紹介して手術をしていただく事になります。執刀した主治医により術後のプロトコール(リハビリテーションの流れ)は違います。下記には半月板損傷の般的な術後のプロトコールを紹介します。

【半月板切除の場合】

手術後早期から制限なく体重をかけることが出来ますが、疼痛や水腫の状態を確認しながら体重量を増やしていきます。初期は体重をかけないトレーニングを中心とし、上記の保存療法で述べたように可動域と筋機能の改善を図ります。また体幹・股関節のトレーニングを積極的に取り入れます。スポーツ復帰は術後2ヶ月〜3ヶ月を要します。

    

図5:股関節外転運動           図6:ブリッジ(お尻上げ)

 

【半月板縫合の場合】

手術後早期は、膝関節の安静を目的に膝装具にて固定します。術後2週間で全体重をかけることが可能となりますが、水腫や疼痛が増強するようであれば、疼痛が起きない範囲で段階的に体重をかけていきます。また縫合部分へのストレスを考慮しながら、膝が深く曲がるような動きは控えます。術後2ヶ月以降を目安にジョギングを開始し、スポーツ復帰は術後3〜4ヶ月を要します。その際は下肢の関節の位置関係に異常をきたしていないことを確認して許可します。

 

【最後に】

患者様によって、機能障害(関節の動きが悪くなっている、筋力が発揮できないなど)を起こしている部位は様々であり、個人差があります。

このページで紹介しているリハビリテーションプログラムのみでは症状が改善しない場合があります。症状が改善せずにお困りの方は是非ご受診していただき、リハビリテーションを受けていただくことをお勧めいたします。

当院のリハビリテーションでは患者様一人一人をセラピストが丁寧に評価をして患者様にあった治療プログラムを作成いたします。

文責:リハビリテーション科 理学療法士 斉藤 怜

 

引用:

1)中村耕三,他:下肢のスポーツ外傷と障害

2)松本尚,他:膝半月板損傷の機能解剖学的病態把握と理学療法,H24.

3) 日本整形外科学会 パンフレット