スタッフコラム

スタッフコラム

Staff column
2020.06.29
腰椎椎間板ヘルニアについて

〈病態〉
腰椎椎間板ヘルニアとは、椎骨と椎骨の間にあるクッションの役割をする椎間板が、外に飛び出した状態のことを指します。
この飛び出した組織が神経を圧迫することで、痛みや痺れ、感覚障害(感覚が鈍い)、運動障害(足が動かしにくい)などの症状が出現します。

※ヘルニアとは、何かが飛び出すこと。


腰の骨である腰椎の椎間板で起こったものを「腰椎椎間板ヘルニア」と言います。
首で起きた場合は「頸椎椎間板ヘルニア」と言います。

 

 

〈原因〉
加齢、喫煙、遺伝、長時間の悪い姿勢での作業など、さまざまな要因が影響していると言われています。
ただし、腰椎椎間板ヘルニアの多くは、日々の生活の負担が椎間板へ蓄積されることで発症しやすいと言われています。

例えば…
・長時間の中腰姿勢での作業や車の運転
・長時間座ったまま(デスクワーク)
・重たいものを持ったり、腰を強くひねることが多い
・日常的に猫背や姿勢が悪い

このような腰に負担がかかりやすい仕事や生活を送っている人ほど、腰椎椎間板ヘルニアを発症しやすいと言えるので、注意して生活してみてください。

 

〈症状〉
・腰痛
・下肢の痛みやシビレ
・運動麻痺(足が上手に動かせなくなる、つまづきやすくなる)
・感覚麻痺(感覚が鈍くなる、冷たくなる、重くなる)
・膀胱直腸障害(トイレしたいかどうかわからなくなる)
・重いものを持ったら痛みが強くなる

※必ずしも痛みが伴うわけではありません

 

 

〈診断〉
症状についての問診はもちろんのこと、腰椎椎間板ヘルニアの代表的な検査も行っていきます。
・下肢伸展挙上検査
・足の筋力検査(足の力が弱くないか)
・足の感覚検査(足の感覚が鈍くないか)
・腱反射検査(腱を叩いて反応を見る)
X線(レントゲン)撮影
MRI

このような検査から腰椎椎間板ヘルニアかどうかの診断が確定します。
MRI画像で椎間板が飛び出していても、症状が出ない方もいます。

 

 

〈治療〉
腰椎椎間板ヘルニアには保存療法と手術療法がありますが、この病気の約8085%は自然経過で症状が軽快すると言われていますので、まずは保存療法からの治療が進められます。
当院では保存療法中心のクリニックのため、保存療法を中心にお話ししていきます。

 

保存療法
・薬物療法
→内服薬として、消炎鎮痛薬や筋弛緩薬を使って痛みを抑えていきます。

・神経ブロック注射
→激しい痛みがある場合に使います。
神経の周りの痛みや炎症を抑える注射で痛みを抑えていきます。

運動療法(リハビリテーション)
→痛みが軽くなってきたら、運動療法(リハビリテーション)を取り入れ、体幹(腹筋・背筋)を鍛えたり、ほぐしたりして、丈夫な身体を作っていきます。

 

※運動療法と行っても、激しい運動ではなく、体操やストレッチから行っていきます。

これらの保存療法でも効果がない場合や激しい足の痛みや脱力が続く、排尿・排便に障害が見られた場合には、手術をお勧めする場合があります。

 


〈リハビリテーション〉
運動療法は自宅でも続けて行うことが非常に重要になります。
普段の生活の中でもできる運動をいくつか紹介しますので、ぜひ取り組んでみてください。

まずはこれ以上椎間板に負荷をかけないように、筋肉の柔軟性の獲得や体幹(腹筋・背筋)の強化を目指します。

 

①腹式呼吸(ドローイン) 

 

 

 

②片膝抱え

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ③座位前傾ストレッチ

 

 

 

 

 

 

 

④上位胸椎回旋 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どの運動も基本的に痛みを確認しながら行ってください。
運動中、その後に痛みが出た場合は、一旦運動を中止してください。痛みが落ち着いたら、またゆっくりと行ってみてください。

 

〈さいごに〉
今回は腰椎椎間板ヘルニアに注目してお話ししましたが、腰部の病気には他にも多くの病気があり、腰痛の出方もさまざまです。
どの腰部の病気も、日頃の身体のケアを心がけるだけで予防されることがわかってきています。
ですので、日頃からご自身の身体をチェックしてみてください。

運動や体操の方法は当院でお伝えすることができますので、興味のある方、症状でお困りの方は是非ご受診していただき、リハビリテーションを実際に受けていただくことをお勧めいたします。

当院のリハビリテーションでは、患者様一人一人をセラピストが丁寧に評価して患者様にあった治療プログラムを作成いたします。

 

 

文責:リハビリテーション科 理学療法士 佐藤徹哉

〈参考資料〉
1)一般社団法人 日本脊髄外科学会HP(http://www.neurospine.jp
2)公共法人社団 日本整形外科学会パンフレット「整形外科シリーズ2 腰椎椎間板ヘルニア」
3)成田崇矢:脊柱理学療法マネジメント 病態に基づき機能障害の原因を探るための臨床思考を紐解く