スタッフコラム

スタッフコラム

Staff column
2020.07.07
脛骨疲労骨折のリハビリテーション

1.どのような障害か(病態・原因・症状)

<病態>

脛骨疲労骨折とはスポーツなどによって、すねの骨に比較的小さなストレスが繰り返し加わることによって骨の組織に中断・断裂や骨膜反応が生じて、さらには骨折にまで至り、痛みを引き起こす状態のことです。

<原因>

スポーツでの急激な練習量の増加や使い過ぎ(ランニングやジャンプなどの繰り返しの運動)や筋肉低下、アンバランスな筋力、疲労による足のクッション作用の低下、身体の柔軟性の低下が考えられます。また環境因子としては不適切なシューズや練習場が固すぎたり、柔らかすぎるなどが考えられます。

<症状>

症状は比較的膝に近い部位に痛みや限局した圧痛が発生することが特徴的です。運動によって痛みが増加しますが、徐々に痛みが生じる場合と急激に痛みが出る場合があります。また、すねの痛みがでる疾患でシンスプリントというものがあります。シンスプリントは運動時や運動後に、脛の中下1/3の内側に痛みと圧痛がみられます。また多くの場合両側に認められ、疼痛は運動後だけ痛むものから安静時にも痛むものまで様々です。

脛骨の疲労骨折では痛みが生じる部位によって3つのタイプに分類されます。

疾走型疲労骨折

 陸上選手など走る競技に多く脛骨上1/3に多発

跳躍型疲労骨折

 バスケットボールやバレーボールなどジャンプ動作が

多い競技に多く脛骨中1/3に多発

後内側型疲労骨折

 様々なスポーツで生じ発生頻度は最も多い。

脛骨下1/3後内側に多発

 

 

 

2.診断・治療

診断:X線、MRI、骨シンチグラフィー

治療:疲労骨折が確認されるとすぐにスポーツを中止します。症状により休養期間はば

らばらですが疾走型であれば2~3か月程度の完全中止から徐々に練習に復帰し

ていきます。ただし、跳躍型の疲労骨折は難治性であり4か月程度の練習の中止

をしても治癒しない場合があり、早期に手術療法を検討することもあります。

疲労骨折は繰り返される外力が要因となり骨折に至るものであるため、骨の再形

成を促進させることや局所にかかったストレスの要因を判別し、改善するための

リハビリテーションを行います。

 

3.リハビリテーションプログラム

脛骨疲労骨折のリハビリテーションとして

  • 痛みの軽減、骨折部の治癒
  • 隣り合った関節の可動性や安定性の改善
  • 姿勢の改善
  • 動作の改善を行っていきます。
  • 痛みの軽減、骨折部の治癒

骨折部の炎症の軽減ために患部(痛みのある部位)のアイシングや治癒促進のための治療として超音波による治療を行います。

  • 隣り合った関節の可動性や安定性の改善

股関節や足関節など脛骨に近い関節での柔軟性が低下することにより、ジャンプ動作の着地やランニング時に衝撃の吸収がうまく行えなくなることで骨折部に多くのストレスがかかってしまいます。以下のストレッチなどを行うことで柔軟性の改善を行っていきます。

 

・大腿四頭筋(太ももの前)ストレッチ

・SLRストレッチ(太もものうしろ)

  • 姿勢の改善

偏平足など足のアライメント不良によっても骨折部に大きなストレスをかけてしまうため、足関節の可動域や筋力の改善、また不適切なシューズでのスポーツ動作により受傷してしまうこともあるため、当院ではインソールの作成なども行って対応しています。

 

  • 動作の改善

ジャンプ動作やランニング動作など、原因となりえる動作のチェックをして、実際のスポーツ復帰に向けての準備をしていきます。

 

<最後に>

患者様によって、機能障害(関節の動きが悪くなっている、筋力が発揮できないなど)を起こしている部位は様々であり、個人差があります。

このページで紹介しているリハビリテーションプログラムのみでは症状が改善しない場合があります。症状が改善せずにお困りの方は是非ご受診していただき、リハビリテーションを受けていただくことをお勧めいたします。

当院のリハビリテーションでは患者様一人一人をセラピストが丁寧に評価をして患者様にあった治療プログラムを作成いたします。

 

 

文責:リハビリテーション科 柴田 菜々

 

引用

1) Sportsmedicine No.158

2)理学療法 2016 vol.33 No.9

3)臨床スポーツ医学 2019,12 vol.36