スタッフコラム

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Staff column
2020.06.03
上腕骨近位端骨折のリハビリテーション

このコラムでは当院で多い疾患に対してのリハビリテーションプログラムをご紹介します。

『上腕骨近位端骨折』

1.どのような障害か(病態・原因、症状)

<病態>

上腕骨近位端骨折とは、上腕骨の上の方(肩の付け根)での骨折です。

高齢者、特に骨粗鬆症を伴う女性に多く、脊椎圧迫骨折、大腿骨近位部骨折(股関節)、橈骨遠位端骨折(手関節)、と並んで骨粗鬆症を基盤とする高齢者に多い骨折の一つです。

図1:右上腕骨(ビジブルボディ提供による画像を加工)

 

<原因>

若い人では交通事故やスポーツなどの強い外力によって、高齢者では転倒して手や肘をついたり、肩の外側を直接打ち付けた場合に生じます。

 

 

<症状>

ケガをした直後から肩や腕の痛みが強く、腕を上げたりひねったりすることができなくなります。

骨折してから2〜3日後に、肩から胸部、上腕部に皮下出血(内出血)が現れることがあります。

2.診断、治療

 

<診断>

診察、X線検査、MRI検査など

 

<治療>

保存治療:

骨折のズレがない、または少ない場合は三角巾、バストバンドなどで固定し、早期に運動療法を開始します。

骨折のズレが大きい、または整復位の保持が難しい場合ではX線写真で仮骨の形成を確認した後に運動療法を開始します。

 

手術治療:

骨折の分類や、骨折部のズレの程度により手術治療が適応となります。

また、徒手整復が不能であったり、整復位保持が困難な場合も手術治療となります。

 

3.リハビリテーションプログラム

 

保存治療のリハビリテーション:

早期より手指・肘の曲げ伸ばしを行い、浮腫やこわばりを予防します。

肩甲骨周囲筋のリラクゼーションにて肩甲骨の動きを良くします。

肩甲骨周囲筋のリラグゼーション

 

X線写真で仮骨の形成を確認後、振り子運動やワイピング運動を開始します。

    

振り子運動                             ワイピング運動

 

その後も骨癒合の状態を確認しながら自動可動域訓練を行い、骨癒合後に筋力訓練を開始します。

自動可動域訓練のひとつ ふりふり

 

手術治療後のリハビリテーション:

 

連携病院にて手術を行い、退院後に当院でのリハビリテーションに通うことになります。

 

手術の方法や内容、骨折部位や骨癒合によって固定期間、リハビリテーションの開始時期が異なります。

 

そのため、主治医と理学療法士との間で連携を密にとり、リハビリテーションを進めていきます。

 

【最後に】

患者様によって、機能障害(関節の動きが悪くなっている、筋力が発揮できないなど)を起こしている部位は様々であり、個人差があります。

 

このページで紹介しているリハビリテーションプログラムのみでは症状が改善しない場合があります。症状が改善せずにお困りの方は是非ご受診していただき、リハビリテーションを受けていただくことをお勧めいたします。

 

当院のリハビリテーションでは患者様一人一人をセラピストが丁寧に評価をして患者様にあった治療プログラムを作成いたします。

 

文責:リハビリテーション科 理学療法士 上村 直大

 

引用:

末永直樹,他:肩の外傷 骨接合術&人工関節置換術,メディカ出版,2018

内田淳正,他:標準整形外科学 第11版,医学書院,2012

日本整形外科学会 パンフレット